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半導体先端パッケージにおけるMESインテリジェンスの最適化

SmartFactory MES for ATP(Advanced Packaging)は、ファンアウトパッケージング工程において、チップ(ダイ)のトラッキングとトレーサビリティ、および材料消費履歴の管理を可能にします。
Smart factory MES optimization for semiconductor advanced packaging

半導体の先端パッケージ技術は、次世代デバイスの開発において極めて重要な役割を果たしています。技術の進化に伴い、従来のパッケージ手法ではサイズ、性能、消費電力の面で限界が生じています。先端パッケージは、これらの課題を解決し、機能性の向上、小型化による性能改善、低消費電力、高信頼性を実現します。

最近の技術革新の中でも、特にファンアウトパッケージはその汎用性とスケーラビリティの高さから急速に注目を集めています。ファンアウトパッケージは、プロセッサー、センサー、高帯域メモリ(HBM)など複数の半導体デバイスを1つの高性能パッケージに統合することが可能です。設計や形状の柔軟性も高く、機能性を維持しつつコストを抑えた小型モジュールの実現が可能です。

本ブログでは、MESがファンアウトパッケージ工程を最適化する2つの主要なユースケースを紹介します。

ユースケース①:チップ(ダイ)のトラッキング

課題

ファンアウトパッケージング工程では、複数のチップ(ダイ)を基板に取り付ける際に、どのチップ(ダイ)がどの位置に、どの順序で取り付けられるかをモデル化することが重要です(下図の図1参照)。

ひとつの基板上の位置に、異なる種類のチップ(ダイ)が取り付けられる可能性があるため、正確なチップ(ダイ)取り付け順序の設定は非常に重要です。

Figure 1: Multiple die on a substrate
図1:基板上の複数のチップ(ダイ)
SmartFactory MES for ATPは、各工程ステップにおいて適切なチップ(ダイ)とその取り付け順序を事前に定義できる柔軟なモデリング手法を提供します。(図2参照)
Figure 2: Setup UI for defining die attach specification
図2:チップ(ダイ)取り付け仕様を定義するUI画面

メリット

SmartFactory MES for ATPは、チップ(ダイ)が基板にどのように取り付けられるかをモデリングおよびトラッキングする機能を提供し、実行時のミス防止によって運用効率の向上を実現します。

さらに、事前定b義されたオートメーション化シナリオにより、各種製造装置との自動連携にかかる工数を最小限に抑えることができます。

ユースケース②:チップ(ダイ)のトレーサビリティ

課題

ファンアウト工程では、各基板位置に取り付けられるチップ(ダイ)の数と順序の決定が非常に複雑になります。

そのため、どのチップ(ダイ)がどの基板で使用されたかを追跡するトレーサビリティ機能が不可欠です。

さらに、チップ(ダイ)の消費履歴を簡単に確認・評価できる柔軟なレポートツールも必要です。

SmartFactory MES for ATPは、どのアセンブリロットでどのチップ(ダイ)が使用されたかをレポート可能です(図3参照)。

Figure 3: Report showing the die on an assembly lot
図3:アセンブリロットで使用されたチップ(ダイ)のレポート

作業指示ごとのチップ(ダイ)消費状況も確認でき(図4参照)、基板IDごとの消費量も把握可能です。

Figure 4: Report showing die consumption by work order
図4:作業指示ごとのチップ(ダイ)消費レポート

メリット

SmartFactory MES for ATPは、消費されたチップ(ダイ)の数量およびチップ(ダイ)/基板の位置情報に関する包括的なトレーサビリティレポートを提供します。

本ソリューションは、製品の種類を問わず(AIプロセッサからHBMモジュールまで)、製造中に発生する問題の影響を最小限に抑え、根本原因の特定するための時間を短縮するのに必要な正確かつ詳細な情報を提供します。

まとめ

The SmartFactory MES for ATP:

  • 基板上のチップ(ダイ)の取り付け位置と順序をモデリングすることが可能で、これにより、ファンアウト工程全体にわたって、チップ(ダイ)・基板・ロットの包括的かつ正確なトレーサビリティが実現されます。
  • 消費された材料、製造用治具の使用履歴、工程の系譜、および装置の稼働状況と保守履歴等に関する包括的なトレーサビリティ機能を提供します。
    これにより、製造オペレーションの可視性と監査適合性が担保されます。
  • ロットの移動を追跡し、生産の進捗を監視し、MESとオートメーション化された装置との間で正確なデータ同期を維持することで、ファンアウト工程全体の管理を実現します。

次のステップ

半導体の先端パッケージ技術は革新的かつ急速に進化しています。

SmartFactory MES for ATPがどのように多様なユースケースに対応しているかをぜひご覧ください。次回のブログでは、先端パッケージ工場における完全自動化の実現についてご紹介します。

SmartFactory MES for ATPの詳細についてはこちらからお問い合わせください。

著者について

Picture of Seong Hoon Lee,MES 300works®およびFACTORYworks® グローバルプロダクトマネージャー
Seong Hoon Lee,MES 300works®およびFACTORYworks® グローバルプロダクトマネージャー
Seong Hoon Leeは、SmartFactory 300worksおよびFACTORYworksのグローバルプロダクトマネージャーです。25年以上の経験を持ち、半導体前工程・後工程・ディスプレイ・太陽光業界に精通しており、ソフトウェアエンジニア、ソリューションアーキテクト、業界セグメントマネージャーなど多様な役割を歴任しました。明知大学で産業工学の学士号、延世大学でMBAを取得しました。